もちろん感覚ではなく、各種臨床調査で示されている。
世間的にこのコンセプトにagainstする方はあまり多くない。
ワシは疼痛の基礎研究をやっている。元々の専門が歯科ということもあり
歯科分野でよく目にする慢性疼痛として、いわゆる顎関節症には非常に関心がある。
顎関節症も例にもれず女性に多い。そしてどうやら女性ホルモンであるエストロジェンが
顎顔面領域の疼痛発現に一役買っている。そこらへんをかれこれ10年ほど調べてきた。
基礎研究である以上、相手は動物である。人ではできない部分をラットなどにお願いするわけだ。
だからそれ相応の理由がいる。この研究をやることで生じる社会へ貢献度、逆に観ると
こんなにニ� ��ゲン社会に負の利益をもたらす状態なのでどうにかしないといけない、みたいな。
そこらへんをしっかりとしたデータで示さないとアカンわけだ。
そもそも慢性疼痛に苦しむ人はどのくらい存在するのか?
USAでは少なくとも1億人が毎年慢性疼痛を経験する。
ある研究では女性の35%、男性の28%に慢性疼痛があったという。
中でもある種の病態は異様なくらい女性に多い。例えばfibromyalgiaは80〜90%が女性だという。
その他の病態でもIBS, リュマチ関節炎、関節炎、片頭痛なども圧倒的に女性に多い。
さて顎関節症(以下TMD pain)である。全米で4番目に罹患者の多い病態だ。
TMDいうてもいろんな症状がある。雑音、開口障害、痛み、、など。
米国では40〜50%の人がそれらのうち一つを抱えているという。
そして全米で5%の人がTMDに関係する痛みがるそうだ。
最近の研究では女性が男性より3倍もTMDになりやすいという。
そんなことでかなりの人々がTMDに関連する痛みに悩まされ、困っているようなのである。
かなり説得力のある話題だ。ところが、『多くの人がTMDの痛みに苦しんでいるのは解った。
そやけどそれがどんくらい社会的に迷惑を与えているねん?』と聞かれるわけだ。
確かにちょっとくらい痛くても社会活動を弱めるほどでもなければ、
個人にとっては困ったことでも社会的には、、まあ〜スルーされてしまわれか� �ない。
こういう時は下品に金の話に持っていくのが方法の一つだ。
データは古いが2001年の調査では10億ドル以上になるという、こりゃ大変だ。
しかも米国では約1億人の就業者がいるそうだがTMDのため"のべ1700万日/1年"、仕事を休まざるをえない現状があるという。かなり国益を損なう状態であると言えそうだ。
TMDにはこういう社会的影響がある。しかも極めて非生産的な状況をつくり出す。
そしてTMDの大半が女性であることを考慮すればTMD Painにおける女性での発現理由を調べることには
かなりの社会的価値がある、、、と思う、、。
何かをやるには正当性が重要である。
そこさえ支持されればあとは話が早い。
減量プログラム
- 痛みの研究 TMJ/学会/他
- | trackback:0
- | comment:0
消極的ながら我が家の御寮人はんと出向いた。場所はMPLS国際空港近くのクリニック。
まずはペーパーワークから。
数種類のシートがわたされる。ウンザリするほど名前、アドレス、など個人情報を記入。
既往歴、各種ワクチン接種の履歴なども。ワクチン接種の証明書があればそのワクチンはやらなくてもいい。
私の場合、事情で時間的に余裕がない。つまり証明するための書類を用意してる時間もない。
ということで全てのワクチンを接種することになった。
値段的におよそ1発1万円という感じ(注射だけで)。
もちろんワシのインシュランス適応のクリニックなら有る程度保険が効く。少しはsave moneyできる。
が、上記したようにワシの場合、時間的要素がある。そのクリニックの予約は1ヶ月先とかになる。
弁護士と相談の結果、事務作業の迅速な手段として本選択肢しかなかった。
さて、かれこれ1時間弱かかってのペーパーワーク。
そこから延々と時間待ち。予約時間などというものは全く意味がない。
確かにペーパーワークを開始したのは予約時間からだったが。
こうなるのは想定の範囲内なのでmyビジネスを持ち込んだ。もうすぐ投稿予定の論文の見直し。
データは雑誌のサイトにアップロード済。そこで作成したPDFバージョンで丹念に読んだ。
仕事がはかどる。なんせいきなり1時間も仕事する時間があったし。今週末か来週にでも投稿できそう。
ようやくナースの方が呼びにきてくれた。御寮人はんと診察室に。
まず御寮人さんからだという。なのでワシは前室みたいな所でまた待つ。待つ。
話からするとワクチン接種、血液採取、そしてDRによる診察らしい。
そこがまた寒い寒い。どえらい冷房が効いていた。まいった。
多分、またかなり待つんやろな、と思い。再び論文のチェックをはじめた。ここでも1時間近く待った。
クリニック内を可能な限り観察した。なんせ静か、人をみかけない。
さすが全く健康保険診療をしないクリニックだと思った。
エエ加減、ウンザリした頃、検査、診察を終えた御寮はんが戻ってきた。
小声で『かなりヤバいで~』やて。実は昔、健康診断で経験した内容でトラウマティックなことがあった。
それはいわゆるBallsの検査である。まあ~どうということもないが屈辱的なのである。
御寮はんはそのことを言うてるわけだ。とはいえキーワードはノーチョイス。
悲壮感とともにその時を待った。
まず検査系から� ��検査室に入るとナースの方がハワユー?と。
Never Betterというといた。久しぶりにこのフレーズを使った。
注射は看護学生がやってくれた。必死でやってたのが微笑ましかった。
さしあたりブスブスと左右2発ずつ。しめて約500ドル。
ツベルクリンの皮下注射も。
タクシーの料金メーターのようにどんどん積算するイメージ。
次は血液。採取する腕は私に選択権があるらしい。
一応、私は右投げ右打ちなので左腕にしといてもろた。週末からMLBも開幕やし。
行動障害:変化に焦点を当て
そして診察室へ。ナースの方から上半身の服とズボンは脱いでこの半ズボンに履き替えてと、いう。
やはりか?と思た。その密室でもかなり待った。
そしてようやくヨボヨボの爺さん先生が来てくれた。自己紹介とくだらん世間話をした。
そしてさしあたり目、耳、呼吸音、心音を診てもろた後、そのベッドに横になってと。腹部触診だった。
いつ『ドロップyourパンツ』と言われるかとドキドキしてた。
ところが予想に反しそこで終わった。ほっとした。
会計である。
ざっと1000ドルoverのショッピングとなった。
有難い事にラボのボスはその費用を負担すると言うてくれている。が、私は断った。
所詮、ワシ自身の問題である。そこにアメリカ市民の税金が財源であるNIHグラントから
極めて公共性の低い費用を出してもらうのは筋が通らない。アメリカ人に申し訳が立たない。
一般にいわゆる研究にかかる費用(グラントやスカラ� ��シップなど)の財源の大半は公費である。
その費用の多くは国民の税金から賄われていることを関係者は肝に銘じるべきだ。
自己正当化だけは達者で、自分さえよければいいらしい下品な言動を時々、見聞する。
呆れるというより、失望に近い。
ワシはワシなりに美しく、高貴にやりたいとは思うのであった。
- 痛みの研究 TMJ/学会/他
- | trackback:0
- | comment:0
ミネソタTwinsに入団するわけではない。
とりあえずペ-パーワークの後、ワクチン4発、採血、診察。
そして"待ち時間"。まいった。
打ち上げでも。アルコールは飲まんほうがいいらしい。
知ったことではない。
詳細は明日にでも。
- 痛みの研究 TMJ/学会/他
- | trackback:0
- | comment:0
昔、歯医者をやってた頃、しばしば診た。
少し前、親分に次、投稿する論文のDraftをチェックしてもらうために送信したがなしのつぶて。
我々のラボでは論文を書くという作業自体片手間な位置づけである。
(もちろん投稿し公表することは我々のビジネスにおいてもっとも大事なことだ)。
他にもっと重要な仕事があるからだ。下世話な次元でいえばグラント獲得に向けたおもろいアイデアの構築をやることもそう。また親分なら学生の授業がもっとも大事な仕事だ。とにかく論文作成作業にかける労力自体はたいしたことではない。で、私はぽっかりと時間ができたので毎度おなじみ道楽文献読みをやっていた。そのネタが上記した舌痛症。この疾患は歯科領域でおなじみだが例に漏れずそのetioloy , pathologyはアンクリアーである。
PUBMEDで調べるとマイナーとも思えるこの疾患に関する論文がおそろしいほどピックアップされる。
さしあたり臨床的実態をあまり知らんので35個ほどの論文を読んでみた。
舌に見た目的異常はないのだがとにかく舌が痛い、が特徴。
症状は主に自発痛、いわゆる灼熱痛、ぴりぴり感である。
賢明なことわざの痛みの緩和
舌痛症の痛み自体の特徴が他のoral系痛みとなんかちゃうのか
というエヴィデンスがあるのか?と調べると、あった。
歯痛と比較していた。VASでは歯痛と同じレベルだが痛みの質は違う、という結論やった。
ほな例えば痛みの研究でよくやる方法、痛いとこに刺激して痛みを感じる閾値とかどないなっているねん?
という人体実験的研究論文をいくつかながめると、おもろいことが解った。
普通、痛い所界隈では痛みをおこす閾値は健康な状態より下がる。
ところが舌痛症患者では閾値が健康人と同じか、もしくは上昇しているのである。
さらに舌での2点discriminationを調べると舌痛症と健康人では同じである。
閾値という指標をもとに話 を展開すれば、
舌痛症患者での末梢非侵害および侵害受容プロセッシングはあまり重大でない、
と言いたくなるのだがそうは問屋がおろさない。
(余談になるが閾値という指標だけで痛みを追跡するのはしばしばPitfallにはまるリスクがある。閾値が上がっても痛み自体が強まっている現象はしばしば見られる。閾値の痛み神経プロセッシングにおける意義意味を理解していないことに起因するわけだが。VFやら熱刺激の閾値変化の測定を疼痛検定として金科玉条の如く崇拝する方は少し立ち止まってみたほうがええのとちゃうか?疼痛研究に携わる人はすべからくこの閾値という神経学的意義を深く理解すべきだ。)
話を戻す。
というのも患者の舌をbiopsyし形態学的、化学的に調べると健康舌とは異なる所見がゾロゾ� �出て来るからだ。P2X3, TRPV1受容体が増加してるとか、しかし神経の数?が減っているとか、言い換えれば閾値の変化のなさはneuropathy的症状の発生を示唆するが、痛み自体は残された残存神経の過剰興奮によって引き起こされるとか(つまりSNL modelとかチャングモデル状態)。
これらを見ただけやとこの異常事態は末梢神経メカニズムを強くgo forしたくなる。
が、上記したようにニンゲンの舌痛症では舌自体の閾値が健康人との比較でさほど変化しない(支持するという意味のgo forは否定文の中で使われることが多いらしい)。ネガティヴに言えば、舌痛症患者では舌ではいろんな改変が発生してはいるがさほど痛みのプロセッシングとの関係はあらしまへん、と言えなくもない。
ところがさらに話をややこしくする現象がある。舌は味覚を支配する。舌前2/3 の味覚は顔面神経系が支配するが主にChorda Timpani N(鼓索神経)である。いくつか論文をながめるとこの舌痛症患者ではこの鼓索神経機能がアホになっているという。さらに事態をややこしくするのが必ずしも全ての舌痛症患者がこういう所見を持つわけでもない。よって保守的にいうならば舌痛症患者の一部は味覚系の異常がある、ということになる。ただ一ついえそうなことは末梢機序が関係しそうなことである。
ワシの趣味であるTMD pain。
おもしろいことに顔面皮膚での機械刺激に対するアロデニアは発生していないどころか
閾値が健康群より上昇している。(もちろん顎関節やら咀嚼筋肉はaffcted)。
一方で片頭痛患者では顔面皮膚のみならず全身の刺激閾値が低下している。
頭部顔面領域の疼痛を支配する神経は三叉神経や。
1、2、3の3つの枝がそれぞれの部位を支配するが、その支配領域によって痛み、というか慢性疼痛の特徴が異なるのである。親分のラボではこの3つの支配領域の包括的に理解するためにTMD painと角膜~片頭痛を研究しているわけだが、依然ややこしい理屈が潜んでいる。そしてこれらの慢性疼痛状態では明らかにクラシカルな痛みの理解、つまり外部からの何らかのキケンな働きかけに対する警告信号という範疇ではおさまらない気がしている。
三叉神経領域の痛みにはそのあたりを解明するためのモデル病態がたくさん存在する。
舌痛症、かなり興味深い痛みのモデルだと思う。
しばらくこの病態で遊べそうだ。
- 痛みの研究 TMJ/学会/他
- | trackback:0
- | comment:0
投稿雑誌はIF3.7くらいのどうということもヨーロッパの神経科学系雑誌。
Thanksgiving Dayじゃのクリスマスだので編集部が2週間ほど休みだったこともあり
1回目の結果が出たのが1月8日。で、さしあたり評価手紙の文頭にI regret,,,,,とあるので
こりゃ、reject?と思ったが、以下、読んでいくと大したコメントではない。
どうやら1回でアクセプトできる状況ではないのをregretしているそうだ。
で、ダラダラ追加修正などをやって1月25日頃、再投稿。そして2/14にその結果が出た。
editorはアクセプタブルだがあと統計の数値にF-valueを入れろとかタイトルをもっとコンサイスにしとろか
言って来たが、一人のレビュワーが何やら不満らしい。
何故か?それは前回のレビュワーのコメントに対し、ほぼ同意しなかったからだ。レビュワーは
『こういう理由でその実験はN数を増やすべきだ。そしたら有意差が出る』という。
しかし我々は
『その方法自体はテクニカル上そうしたわけでもちろんNを増やせば数字遊び上、
有意差が出� �かもしれんが,テクニカルには今ひとつtrustableでないので、
動物数を追加することは意味がない』とレスポンスした。
確かに有意差を出す事目的ではない。しかし有意差だけに異様にこだわる変な人もしばしば見かける。
すると2/14に手紙にそのレビュワーは
『指摘した実験をやっていないのは残念だ。
テクニカルな問題があると解っているのならそういう手法をとるのは最初から無意味だ』
という。
我々は
『テクニカルに問題があってもそういう手法以外いい方法がない以上。そうするのは当たり前だ。
そしてそれぞれの結果を個別に分析し、公表するのは極めてフェアーではないか?そもそもそこまでこのデータを否定するレビューワーの考えが全く理解できない』
(ちなみにアンダーライ� ��の部分はボスが追加した。)。で再投稿した。
で、また返事が来た。今度はEditorがやはり上記した記述はdeleteせよ!という。
さすがにEditorに言われれば致し方ない。
腹立つが御意のままに、、、、した。
そして今朝、連絡がきた。アクセプトやて。
たいがいうんざりしてたので喜びどうこうより、やれやれ感大。
11月22日に投稿して3月1日にアクセプト。その間、revise計3回。
追加実験は全て拒否したが、、、まあ~どうにかこうにか一つ終わった。
0 件のコメント:
コメントを投稿